人格と風格を持った果物-ドリアン(後編)
僕は、マレーシア(ドリアンの原産地はマレーシアと聞いた)にいたとき、その林(農園と言うほど生育をコントロールできない)のオーナーになったことがある。と言うと皆さん驚かれるかもしれないが、本当の所有権を持った訳ではない。ある年のひとシーズンの販売権というか、収穫権を複数の投資家(というほどの金額ではもちろんないが)のひとりに誘われてなったのである。
現在はどういう法律になっているのか知らないが、僕がクアラ・カンサーという山奥の町に住んでいた頃は、ブミプトラと呼ばれているマレー人以外、土地所有(農地所有だったかもしれない)が禁じられていて、中国人はファームを持てない。マレー人は商売が得意ではないので中国人に貸す。中国人は何人かから出資を仰いで、土地を借りて、そのシーズンの売上から配当をする。至ってマレーシア的(つまりマレーシアは、マレー人・中国人・インド人の複合国家で、それぞれの持ち味を旨く融合させてなりたっている。政治はマレー人・経済は中国人・技術はインド人というように)な分業と言える。
案の定、配当は無かった。案の定というのは、誘った中国人の言葉を信じるにはマレーシア流を知っていたからであるが、応じた理由は、そのシーズンはファームのドリアンを好きなだけ食べてよい、ということを言われ、それは信じられると思ったからである。結果はその通りで、そのシーズン(7月とか8月だったと思う)は何度もその林に言って好きなだけ食べた。従って十分すぎる元をとった。僕は大好きで、娘(当時まだ5歳くらいだったか)も大好物であった。最初はかなり面食らう味であるが、好きになるとある種の中毒になるくらい忘れられない味になる。
ドリアンを育てるのは大変で、土地の古老なんかに聞くと、丁度腕の長さくらいの穴を掘って、そこに5、6個の種を放り込んで土をかける。最初の目が出てきたら、穴を掘り返して残りの種を捨てて、その芽にかけるんだとか。高い木で、おそらく30mくらいはあるのではないかと思う。1シーズンで収穫が良いときで1本で200個くらいはとれると思う。中国人にピンハネされたとしても、そこそこの収入にはなるはずである。これが何十本もその畑にある。熟れて自分で落ちてくるもので、登ってとるものではない。当然泥棒が待っているので、(別に囲いとかもないし)夜は大きな鉄砲を持った警備員が雇われている。彼はウトウトとしても“どすん”という大きな音がするので、目を覚まして落ちてきたドリアンを集めるわけである。当然ヘルメットをかぶっている。直撃を受けると死ぬのではないかと思う。あの棘もあることだし。
日本ではドリアンは1万円以上するだろうか。しかも乾燥していてあまり美味しくなさそう。今でもあの味はしっかり覚えている。サランラップに種ごと包んで冷凍庫に入れておいて、欲しくなったらシャーベット状になったドリアンを口に放り込む。涼をとりつつあの癖のある味を楽しんだ。
現在はどういう法律になっているのか知らないが、僕がクアラ・カンサーという山奥の町に住んでいた頃は、ブミプトラと呼ばれているマレー人以外、土地所有(農地所有だったかもしれない)が禁じられていて、中国人はファームを持てない。マレー人は商売が得意ではないので中国人に貸す。中国人は何人かから出資を仰いで、土地を借りて、そのシーズンの売上から配当をする。至ってマレーシア的(つまりマレーシアは、マレー人・中国人・インド人の複合国家で、それぞれの持ち味を旨く融合させてなりたっている。政治はマレー人・経済は中国人・技術はインド人というように)な分業と言える。
案の定、配当は無かった。案の定というのは、誘った中国人の言葉を信じるにはマレーシア流を知っていたからであるが、応じた理由は、そのシーズンはファームのドリアンを好きなだけ食べてよい、ということを言われ、それは信じられると思ったからである。結果はその通りで、そのシーズン(7月とか8月だったと思う)は何度もその林に言って好きなだけ食べた。従って十分すぎる元をとった。僕は大好きで、娘(当時まだ5歳くらいだったか)も大好物であった。最初はかなり面食らう味であるが、好きになるとある種の中毒になるくらい忘れられない味になる。
ドリアンを育てるのは大変で、土地の古老なんかに聞くと、丁度腕の長さくらいの穴を掘って、そこに5、6個の種を放り込んで土をかける。最初の目が出てきたら、穴を掘り返して残りの種を捨てて、その芽にかけるんだとか。高い木で、おそらく30mくらいはあるのではないかと思う。1シーズンで収穫が良いときで1本で200個くらいはとれると思う。中国人にピンハネされたとしても、そこそこの収入にはなるはずである。これが何十本もその畑にある。熟れて自分で落ちてくるもので、登ってとるものではない。当然泥棒が待っているので、(別に囲いとかもないし)夜は大きな鉄砲を持った警備員が雇われている。彼はウトウトとしても“どすん”という大きな音がするので、目を覚まして落ちてきたドリアンを集めるわけである。当然ヘルメットをかぶっている。直撃を受けると死ぬのではないかと思う。あの棘もあることだし。
日本ではドリアンは1万円以上するだろうか。しかも乾燥していてあまり美味しくなさそう。今でもあの味はしっかり覚えている。サランラップに種ごと包んで冷凍庫に入れておいて、欲しくなったらシャーベット状になったドリアンを口に放り込む。涼をとりつつあの癖のある味を楽しんだ。
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