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大谷光彦のブログ

㈱ヒューマニーズの会長と一般社団法人組織・人能力開発研究所の代表理事をしている 大谷光彦のブログです。

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食の安全性と国際紛争 

先日来、例の中国産餃子の中毒事件に関するニュースが連日報道されている。改めて、中国への日本人の食生活依存度の大きさを認識させられた。中華料理にナマモノはもともとない。常に火を通すことでその衛生度を維持してきた。つまり乱暴に言えば、どんなものでも「火」によってリスクをヘッジできるという一点により、その食材の範囲を最大化している食文化という気がする。ビタミンCですら「茶」でとっている。これに対して日本の食文化はユニークである。できるだけ調理しないで自然のままの食材を生かすという、“自然共生型”の文化という気がする。

今回のものは「冷凍食品」であった。「冷凍」というのはひとつの工業技術であり、その意味では冷凍食品は究極の加工食品であり工業製品であると言える。技術的な進歩がなければ出現しえなかった“便利な”食物であり、自然の恩恵を第2次産業の工業製品に変えたという意味では、すでに食材の形を失った食物である。日本の食材は土地代や人件費から見てとても高い食物になってしまうので、それらが相対的に安い中国の食材が流通するのはそれ自体自然の流れであったが、冷凍食品という「工業製品」の形にまでそのコストパフォーマンスを高めているとは知らなかった。

この背景に、「火」とか「加工」というリスクヘッジの技術を過信していたということはないであろうか。生の野菜なら直接的にその衛生度を測ることも容易だし、また消費者の意識においてもシンプルに理解することが可能であったが、高度(かどうかは知らないが)な工業的プロセスを経たものなら、“技術大国”日本の消費者がその技術への暗黙の信頼を持っていることで、衛生度への疑問を簡単に忘れていたのかもしれない。生は怖いが近代的な工場のものは安全だという意味で。

しかしながら今回の事件は、まだ農薬が入ったのが中国の工場であるとは断定できていないようだし、製造から流通の過程のどこかで誰かが故意に行った「犯罪」であるのかもしれない。だから、マスコミや業者や国の反応も少し極端というか、「中国の衛生度悪人論」一辺倒になっていることが気になる。ましてや中国と日本は政治的にも危ない関係にあるので、これでまたそういうことに火がつくのではないかと心配になってしまう。科学的・論理的な事態分析をしないで、すぐ集団主義的な方向になるところは、先の戦争時の日本とあまり変わっていないという恐怖感すら覚えるし、外交問題にまで発展する危険を感じる。特に健康面での安全安心ということへの不安というかそれへの被害というのは、かなり簡単に庶民のエゴを刺激し、ナショナリズムに火がつく危険性がある。食料問題から派生する戦争というのは21世紀の国際社会の大きなリスクであると前から思っていた。


僕にとってこの事件は、期せずしてそれを感じさせる事件になっている。

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Posted on 2008/02/06 Wed. 09:41    TB: 0    CM: 0

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