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大谷光彦のブログ

㈱ヒューマニーズの会長と一般社団法人組織・人能力開発研究所の代表理事をしている 大谷光彦のブログです。

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名器の意味 

私の20年来の友人のアメリカ人で美術品の世界的コレクターの人がいます。Andy Warhal やJasper Johnsと言ったアメリカン・コンテンポラリーアートのコレクションは見事です。日本の古美術に関しても相当のコレクションを持っています。先日来日した造形作家のクリストとも長年の友人だそうです。
日本とアメリカを往復していて、よく音楽会に一緒にいったりして遊んでもらっています。

実はかの名器であるストラディバリウスを持っていて、ベルリンフィルのコンサートマスターで今はソリストとして活躍している演奏家に無償貸与しています。その代わり年に一回彼女のためにコンサートを催すというのが約束だそうです。

美術品はコレクションのあるデンバー美術館に行かなければなかなか見る事ができませんが、このストラディバリの演奏会には毎年ご招待頂いて”かぶりつき”で味わう光栄に浴しています。美術の知識はあまりないのですが音楽の方は多少はついて行けるところもあり、心を入れて聴いています。

先日、TVでバイオリンの聴き比べというのをやっていて、なかなか素人にはその違いがわからなかった。でもこの生で聴くストラディは本当にすごい。演奏の腕ももちろん大きな要素なんでしょうが、明らかに音が違う。そのことを思い出しました。

どうしてこんなに音が違うのか? すごい音と言っても所詮主観的なものだと思いますが、あれだけ世界のプロが絶賛するんだから明らかな理由があっても良いと思うし、科学的な分析で何らかの説明がされても良いように思うがそういった解説に接したことがない。

実は僕が主に演奏しているサックスの世界でも、特にJazzの演奏家にとってはアメリカンセルマーといういわゆるヴィンテージものが有名で、僕もアメリカに居るとき楽器の中古店に通いつめて何本か手に入れました。まあ気分のせいもあるのかもしれないけど、明らかに音に味がある。アマチュアの僕には自信を持った言い方はできないが、音色や音の抜けのようなものがちがうし、体への馴染み方までちがう。

ストラディバリウスとアメリカンセルマーに共通していることの一つに「古い」ということ、そして今は作っていないという事があります。

もう作っていないということは、時が経つほど数が減っていくし、良い状態に保つ事自体骨が折れるわけです。人間は”希少なもの”には特別な思いを抱くので、そういう暗示もあるのかもしれない。

推測ではありますが、楽器の場合音を長年しみ込ませることで素材の分子組成まで異なってくるのではないかと思うのです。お酒もそうですよね。まあ人間もそうと言いたいけど例外もある。例外と言えば楽器もお酒もそうか。でもとにかく古いという、時間をかけなければ作ることの出来ない価値には、その時間がしみ込んだだけの価値が乗り移ると考えても可笑しくはないように思います。

芳醇な香りと味。憧れるものがあります。残りの時間が少なくなっていくに従って生まれてくる価値。そういうものがなければ人は生きていけないのではないかと。

名器を持てばそれだけ腕が問われ、ひいては人格まで問われるような気がします。静かにもの言わぬ楽器にじっくりと向き合って自分を振り返ろうと・・・  そんなことを考えました。


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Posted on 2010/03/23 Tue. 23:32    TB: 0    CM: 0

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