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大谷光彦のブログ

㈱ヒューマニーズの会長と一般社団法人組織・人能力開発研究所の代表理事をしている 大谷光彦のブログです。

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不条理を描く力 

今日はサクソン5の練習日。3月の震災の後初めて全員が揃って久しぶりにパートが埋まりました。音も抜けがなくて満足しました。

しかし新曲でまだ未完ながら持って行ったモーツアルトのト短調交響曲のJazz化編曲は今ひとつ納得出来る内容ではなく、再考の必要を感じました。低音が足らないのかな~

ところで、カープが負けたのでスポーツニュースを見ないように避けてNHKのBSに変えたら、「風の中の子供」という昭和初期の映画をやっていて、つい見てしまいました。


風の中の子供 [DVD]


清水宏という監督は知りませんでしたが、小津安二郎の親友だそうで、映画の中のシーンでの沈黙の多さと、その沈黙の間の中に伝えたいことを塗り込める手法はそっくりでした。

この映画が発表された時代は盧溝橋事件が起こって日中戦争が始まった年。丁度僕の父親と同じくらいの年齢の子供の世界を描いています。戦争に突入する直前の日本の社会、日本人の持っている伝統的な差別的な価値観や、貧富と人格の問題など、今ならオブラートに包まれて語られない「偽善」がない昔の日本がそこにありました。

子供の目を通しているのでその事も過剰な強調もなく伝わってきました。嘘のない人間的な「素の世界」と「ませていない子供」の健全さにホッとしました。

今はこんな子供は居ないですね。大人の世界とは隔絶した子供だけが持てる感性や、大人の秩序と混ざらない子供だけの社会。子供らしいまっすぐな正義感や子供時代にしか持てない大人への畏怖や尊敬や大人の世界の矛盾を少し揶揄する能力など、本当に昔存在していた「子供」という人種を見事に描いていて感心しました。

今の大人と子供の関係や、台詞で何でも表現しようとするシナリオのことも考えてしまいました。

僕は、橋田壽賀子のシナリオが嫌いで、向田邦子のそれが好きです。人生のドラマの多くは実際は「不条理」でできているので、台詞でそれを表現することはもともと無理です。だから映像や役者の表情や、それを補完する少なめの台詞がある。小津の映画にも同じ事が言えると思います。

受け手の感性が豊かだったのかもしれません。世の中の事を区別し切らないで理解する力を持っていた時代です。

最近の映画には、人生の「不条理」を当たり前のこととしてそのまま受け入れる姿勢が無くなっているように思います。全てを正義や善悪や倫理で割り切らない美や味というものがあるのに、それを利用していない。もうファンがそれを許さないのかもしれません。

偶然に見つけた映画でしたがいろいろ考えさせられ、新鮮でした。

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カテゴリ: プライベートブログ

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Posted on 2011/07/04 Mon. 00:47    TB: 0    CM: 0

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