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大谷光彦のブログ

㈱ヒューマニーズの会長と一般社団法人組織・人能力開発研究所の代表理事をしている 大谷光彦のブログです。

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“何がなんぼ足らへんの?” 

今日はちょっと日本語の話をします。

頂いた本ですが、宋文洲の「猛語録」という、主に彼のTwitterから抜粋した言葉を収録した本を読んでいます。その言葉自体にも感銘を受け共感するものが多いのですが、何より彼の日本語の力に感心しています。

“得する時には「権利」を言う、損する時には「自由」を言う。” これなんか本当にその通りと思います。

でもその本の内容ではなく「日本語」というものを少し考えてみました。宋文洲さんの本とはちょっと違う文学と翻訳という話です。

日本語の中で特に漢字で表記されない言葉(大和言葉というべきか)の中には英語への翻訳が無理だと思われるものが多いと思います。

そういう意味ではサイデンステッカー氏が川端康成の「雪国」を翻訳してノーベル文学賞の受賞に貢献した時には本当に驚いたものです。あの本はとりわけ日本語の美しさに満ちていて、記号としての言語の範疇をはるかに超えていると思っていたからです。

学生時代に読んだ川端の「千羽鶴」など衝撃を覚えたものです。どこを切り取っても日本人でなければ味わえないと思うほど日本的な景色や物達で埋められていて、日本を知らない人には理解してもらえないような香りで満たされているように思いました。雪国も同様です。

サイデンステッカーは日本人がそれに感動した感覚を深く理解できるものを持っていたのだと思います。そして翻訳したのではなく、英語で、英語を母国語とする人たちが感じる同じような意味を持っている世界を別に表現したのだろうと思います。俳句を英語にするということがあったり、英語で“HAIKU"を作る人々がいるのと同じです。

こう書いていて気付いたのは大江健三郎氏のことです。同じくノーベル文学賞を受賞した日本人ですが、文体はまったく違いますね。全体が芸術的言語ではなくイデオロギー的言語に満ちていて、いたって「翻訳」するのが簡単そうに見えます。最初から英語で書いても書けるのではないかと思うほど日本の香りとは縁がない言葉が多い。最初から日本文化とは関係のないグローバルな世界を書いているからでしょう。

僕は川端康成の文章は本当に好きで、大江健三郎のそれは好きになれない。川端康成には思想がなく、美しいものを見ると周りの物が見えなくなるほど美に貪欲な人で、その感性だけで文章を作っているような人物だと思う。まあ人物としてどうこう言う対象の人ではにはならないと思います。その意味では大江健三郎はたぶんその考え方が僕とは相いれない。従って美に対する価値感や人生観も僕とは相当異なる。だから、日本語の話をしてもあまり客観的な意見とは言えないかもしれない。

ちょっと話がそれ始めてきたので元に戻します。そう、京都弁の事を書こうと思っていたのです。

僕の奥さんは京都生まれの人で、ゆえに中々奥の深い意味を持つ言語を駆使なさる才能があります。尾道生まれの田舎者の僕にはなかなかその真意が掴みかねる注意を要する危ない言語が多数含まれています。別な言い方をすれば翻訳できない言語に満ちている。微妙などっちにもとれない曖昧さを意識的に込めている言葉がたくさんあります。別の言い方をすると川端康成的でもあり、美しくもある。京都の景色のように。

その中で僕の好きな言葉のひとつに“何がなんぼ足らへんの?”(または”何がなんぼ足りひんの?”)と言うのがあります。たぶん目下の人、特に子供などに言う言葉だと思いますが、気に入らないことがあって何かを要求してうるさい時などに、その人に対して言う言葉です。

奥さんはこの言葉をうちの犬に対して使います。彼が食べ物をねだって吠えるときに。

非常に柔らかくて、その要求されていることに怒りを感じてない時に使う言葉だと思います。それを楽しんでいるとまで言ってよいかも。

これも英語に出来ないことばです。美しい言葉だと思います。

ブログの性質上、京都弁の怖い例は敢えて引用しませんが、表現力に富んだ言語には、反対にとても深く人を傷つけ得る言葉も豊富です。但し、大江健三郎のような直球ではないところはそれでも文化的で美しい??

言葉というのは本当に大切で、それで伝えられることは無限かもしれない。無言で表現するコミュニケーション方法もあるけど、ちょっとした言葉で傷つけあったり癒し合うことも、がっかりさせたり勇気付けられることもある。

何がなんぼ足りひんの? そう聞きたくなる人が増えてきた??

外国の人に学ばなければならないと思う今日この頃でした。
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カテゴリ: プライベートブログ

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Posted on 2012/09/22 Sat. 19:19    TB: 0    CM: 0

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