大谷光彦のブログ

㈱ヒューマニーズの社長をしている 大谷光彦のブログです。

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哲学的なバルザック? 

一昨日持ち帰った仕事を終え、昨日は昼に上京してきた娘婿の両親と会ったのち夜は友人と約束していた会食で蕎麦を食べ、あっという間にこの連休も特に何らかの成果も残さず慌ただしく過ぎようとしています。今日は連休の谷間の真空的一日。それで気になっていた植物のことから、何故か放置していた池田晶子の「41歳からの哲学」を手にとって読んでしまいました。

左はウンベラータという植物で、葉の形が実に美しく、のどかな昼下がりに楽観的で明るい空間を与えてくれるとても気にいっている一鉢。右は会社で死にかけていたのを持ち帰って何とか再生を願っていた蘭で、今年立派な花を付けてくれた一鉢(正確には2種類をひとつの鉢に入れています)。そして動物代表としてうちのバルザック君。もう早いもので14歳です。

ウンベラータ   蘭
IMG_1378.jpg

蘭は生命再生の成功例ですが、ウンベラータは葉が黄色になり明らかに様子がおかしい。育てるのが簡単だと言うので買ったのに。近くに住む“植物おたく”の息子に相談したら根腐れではないかと言うのでこれから鉢の交換をしようとしているところです。14歳になったバルザックは虚ろに空間を見て過ぎす時間が増えてきました。相変わらず愛くるしいこの子にも確実に老いが近づいてきています。

子供が育って親としての社会的役割が終わってしまうと、「仕事」をする理由として安易に説明できた「家族のため」というのも無くなってしまう。家族を最初から持っていない場合は常に”それを生きている”ので、こういう「潮目」はないのかも知れませんが、一旦家族を持ちその上で仕事をしてきた者としては、こういう連休には内省的なことを考えてしまうことが多い。俺は何をしているのか、と。

前もブログで池田晶子のことを書いたと思いますが、2007年に47歳の若さで亡くなった哲学者で、彼女の「14歳からの哲学」は子供向けの本の域を超えた名著でヒットしました。植物と命ということからまた今日また池田晶子を読みたくなって、本当に久しぶりですが、一度手にとって止めていた「41歳からの哲学」を読んでいました。

“物事を突き詰めて考えるのが好き”といういい方をすることがありますが、正確には”考えてもいないまま発言することが多い自分が厭”、というのが正しいのではないかと思っています。それは非常にやっかいで周りから嫌がられる性質です。上記の「社会的役割」などと言う言葉も、一種の逃げであり、だれも僕にそんなことは期待していない可能性が大きいわけです。

哲学というのは結局「死」について考えることです。死は究極の平等であり、死を避けられないというのは生物がどうしても受け入れるしかない事実です。でもこのウンベラータも蘭も死の事を考えません。もちろん動物であるバルザックも考えません。考えなくても死にます。

人間だけが死を恐怖として捉え、それ身構え、そして保険をかけ、医学を駆使して逃れようとする。でも死んだ人間と話はできないし、死が恐怖すべき怖いものなのかその証拠もないのになぜそうなのか、池田晶子はそう言います。彼女は死を恐怖していなかったようだし、自分を敢えて言えば地球ごと客観ししていたようなそんな無機質的冷淡さと言うか、鈍感さと言うか、孤高さというか、そんなものを持っていたように思います。小林秀雄が師であったと言うだけはある自己客観視力は半端ではないように思います。

羨望を覚えると言いたいのですが、自分はそうではなくて良かったと思っています。

人はそれぞれ違ったパーソナリティーを持っています。でも「現実」は大勢の人の観念によって作られていて、その「観念」の集合体を常識と言います。自分の観念というものをそれと切り離すことは容易ではないし、実際その切り離しに意味があるのか、から考えなければならない。

ウンベラータと蘭とバルザックには観念がなくて、ただただ僕が育てたいと言う自分勝手な欲の対象になっているだけなのです。でも、否、だから、はるかに彼らの方が幸せではないかと。少し暇であることは僕にはむいてないのかもしれないですね。こんなことを考えて幸せになる人間なんていないだろうから。。
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Posted on 2016/05/06 Fri. 16:31    TB: 0    CM: 0

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